パーティションについて
Linuxをインストールする時の最初の難関はパーティションの分割ではないでしょうか?
最近のLinuxは自動的にパーティションを分割してくれますが、これらは決して最適に分割されているワケではありません。
Linuxをインストールするマシンの用途に適したパーティションの分割を行わないと、
後々にあるパーティションの容量が一杯になり、期待通りの動作をしてくれない場合があります。
ここでは、Linuxインストールの鬼門とも言えるパーティションについての解説を行います。
なお、このページはLinuxビギナーを対象としていますので、詳細な解説は割愛しております。
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パーティションの扱いはWindowsOSとLinuxOSの場合ではその扱い方が異なります。
その違いをここで明確にしておきましょう。
Windowsにおけるパーティション
Windowsでの「パーティション」は、物理的なハードディスクドライブ(以下、HDD)を複数の論理的HDDに分ける事です。
つまり、1台のHDDを見かけ上複数台のHDDにみせかける事です。
そして、分割された個々のパーティションはひとつの「ドライブ」として扱われます。
ひとつの物理的なHDDに2つのパーティションを区切ると、Windows上では見かけ上2つのHDDが設置されている事になり(「C:」ドライブや「D:」ドライブなど)、
それぞれが独立したフォルダ構造を持つ事になります。
Linuxにおけるパーティション
Linuxでは「ドライブ」と言う概念はありません。
全て「/」(ルート)から始まるディレクトリ構造で表されます。
これは、物理的なHDDが複数台存在していても同様で、ひとつのディレクトリ構造になります。
また、「/」と「/usr」をパーティションで分割した場合には、「/usr」の容量が一杯になると
例え「/」に容量の空きがあっても「/usr」以下にはファイルの追加ができませんので、注意が必要です。
現在、自分のLinuxにどの様にパーティションが区切られていて、どれ位使われているのかを調べるには、以下のコマンドを実行させます。
# df -h
このコマンドの実行結果の例が以下の表示です。
# df -h <-- コマンドを実行 ファイルシステム サイズ 使用中 空き 使用% マウント場所 /dev/hda2 18G 748M 16G 5% / /dev/hda1 45M 13M 30M 30% /boot 使用しているLinuxのパーティションが表示されます。「使用%」の欄に注目
上記のコマンドでは、スワップ領域は表示されません。
パーティションを分割するメリット
パーティションを分割するデメリット
最適なパーティション分割を見つけるのは、とても難しい事だと思います。
なぜなら、Linuxシステムをどの様な用途で使用するのかによって、その分割基準が大幅に変化するからです。
個人用途なのか、外部公開向けのサーバなのか、多くのユーザがいるのかいないのか、などの前提となる条件で大幅に変化してきます。
それに、自分が使用したいディストリビューションがどのディレクトリをどういった用途で使用しているのかも熟知していなければなりません。
また、HDDの容量によっても変化します。大容量であればあるほどパーティションの分割は大きめでオッケーなのですが、
8GBや2GBなど容量が少ないHDDの場合はよりシビアに分割の見積もりをださなければいけません。
パーティション分割がよく分からない内は、
「全部ひとつのパーティションでインストールし、ある程度の期間運用しながら様子を見る。」
と言うのが非常に有効な手段だと思います。
障害対策の観点からはパーティションを分割した方が好ましいワケですから、
大体どのディレクトリがどの程度容量が必要なのかを理解してから改めてインストールしてやる方が、
管理者としても安心できると思います。
パーティション分割の具体例を挙げて解説してみたいと思います。
ここで示すのはあくまで「例」ですので、実際の分割時にはくれぐれも自己責任で行って下さい。
ここでは、20GBの容量を持つHDDを使用すると仮定します。
パーティション分割がよく分からない方、もしくは2GB〜10GB程度のHDDをお使いの方
パーティション | ディレクトリ | 容量 |
/dev/hda1 | /boot | 50MB |
/dev/hda2 | / | 約19GB |
/dev/hda3 | スワップ領域 | 256MB |
そのほとんどの容量を「/」以下に割り当てています。
これなら、どのディレクトリの容量がどの程度使用されるのかを実際の運用時に確認する事ができますので、
よく分からない時はこの分割方法をお勧めします。
サーバ用途
パーティション | ディレクトリ | 容量 |
/dev/hda1 | スワップ領域 | 256MB |
/dev/hda2 | /boot | 50MB |
/dev/hda3 | / | 256MB |
/dev/hda5 | /var | 6GB |
/dev/hda6 | /usr | 3GB |
/dev/hda7 | /home | 3GB |
/dev/hda8 | /opt | 約7GB |
多少細かく分けすぎかもしれませんが、「/opt」を予備のパーティションとして分割しています。
他のパーティションの容量が溢れそうな時にはこの「/opt」を使用する事で容量不足を補います。
各ディレクトリの使い方はディストリビューションによってそれぞれ異なります。
Vineの場合には「/home」は各ユーザのデータやWebサイトのコンテンツが保存され、
「/var」には主にログや各ユーザのメールが保存されますので、比較的大容量が必要になります。
ワークステーション(クライアントOS)用途
パーティション | ディレクトリ | 容量 |
/dev/hda1 | スワップ領域 | 256MB |
/dev/hda2 | /boot | 50MB |
/dev/hda3 | / | 1GB |
/dev/hda5 | /home | 10GB |
/dev/hda6 | /usr | 約8GB |
ほとんどのアプリケーションは「/usr」以下にインストールされます。
デスクトップ環境のひとつであるGNOMEなども「/usr」以下にインストールされます。
「/home」以下にはユーザの作成したファイルなどが保存されます。
ですので、「/usr」と「/home」を出来るだけ多く分割しています。