ダイナミックDNSを利用する
大抵のプロバイダは固定のグローバルIPアドレスを割り振ってはくれません(有料で固定IPアドレス割り当てのサービスがあるプロバイダもありますが)。つまり、非固定のグローバルIPアドレスになるのです。
この「非固定IPアドレス」というのは、接続の度・一定時間経過後(プロバイダや接続環境により一概には言えない)にIPアドレスが変化します。
この為、せっかくの自宅サーバも「いちいちIPアドレスを入力しなきゃりゃならんし、いつの間にかIPアドレスが変わっていてアクセスできねぇーよ!」という事態に陥りかねません。
そこで!Dynamic DNS というサービスを利用します。
Dynamic DNS は、インターネット上からダイナミックにIPアドレスの登録変更が可能なサービスです。
このサービス上でお好みのドメイン(サブドメイン)を作り、対応するIPアドレスを定期的に送ることによって、自宅サーバに固定のドメイン名(URL)でアクセスできる様にするサービスです。
贅沢を言わなければこのダイナミックDNSサービスも無料で受けられます。
DNS ( Domain Name System ):IPアドレスを文字列にしてしてくれるモノ
世界中のWebサイトのURLが数字の羅列だったら面倒くさすぎるからネ
ダイナミックDNSサービスを行う業者はたくさんあります。
DiCE DynamicDNS Client (自宅でインターネットサーバー)をご覧下さい。DiCEというソフトに対応しているダイナミックDNS業者を紹介してあります。
当サイトではDiCEを使用します。
このDiCEとは、先述した様に変化するIPアドレスを自動的にDNS業者へ更新してくれるフリーソフトウェアです。(有償版もあります)このDiCEの使用法は後で説明します。
後々メールサーバを立てようとしている方へ
ドメイン名(サブドメイン名)がダイナミックDNSを利用している場合は、ダイナミックDNSがMXレコード登録に対応しているかどうかはDiCE DynamicDNS Client (自宅でインターネットサーバー)をご覧下さい。
※こちらのサイトで紹介されているDNS業者は全て上記条件1をクリアしています。
ダイナミックDNSに登録する
一般的なダイナミックDNS業者(もちろん無料)には基本的にこのサイトではhttp://www.no-ip.com/の登録を説明します。
No-IPではサブドメインで登録が無料で可能です。
URLは「http://username.no-ip.com」などになります。(usernameはユーザの任意で決定できます。no-ip.comの部分も幾つかの候補の中から選択できます。)
とりあえずhttp://www.no-ip.com/に行き、ページ中部に「No-IP Free」(下図)の[Sign up]をクリックします。
図D-12 No-IP.com Free SignUp画面
[Sign up]をクリックすると、新規登録フォームが表示されます。
図D-13 No-IP.com Free SignUp画面2
太い文字が必須入力項目です。
フォーム下部の「How did you hear about us?」は「どうやってこのNo-IPを知ったの?」って事。とりあえず[Other]でOKです。
んで、注意事項をよく読みOKなら[Register!]をクリックします。
図D-14 登録が完了したトコロ
登録が正常に完了すると「Success!」と表示されればOKです。
しばらくすると登録したメールアドレスにパスワードが記載されたメールが送られてきます。
パスワードを確認したら、再びhttp://www.no-ip.com/にアクセスします。
ページ左側の「User Login」で「Email:」欄に登録したメールアドレス、「Password:」欄に先程確認したパスワードを入力し、[Login]をクリックしてログインします。
図D-15 ログインフォーム
ログインが成功すると下図の様な表示がされます。
図D-16 ログイン成功!
新規ホストの登録をします。ログイン後のページ左側のメニューより[Add]をクリックします。
図D-17 新規ホストを登録1
ページ中央部の「Hostname Information」フォームに必要事項を入力します。
「Hostname:」欄:希望の名前を入力します。これは全てのNo-IPユーザの中でユニーク(唯一)でないといけません。
「Host Type:」欄:デフォルトで[DNS Host (A)]にチェックされているままでOKです。
「IP Address:」欄:No-IP側が自動取得してくれているはずなのでデフォルトでIPアドレスが入力されています。
「Assign to Group:」欄:これはデフォルトのまま(項目が[- - -]しかないと思います)で結構です。
「Allow Wildcards:」欄:デフォルトのまま(未チェック)で結構です
今回、例として、http://name.no-ip.info 、IPアドレスが 999.999.99.9 であるとしておきます。
Hostnameに先客がいたなどの入力内容に不備がある場合エラーとして返ってきます。
図D-18 新規ホストの必要事項を入力
必要事項の記入が済み、エラーもなければページ最下部の[Create Host]ボタンをクリックします。
希望のホスト名が取得できると「Members: Modfy Hosts:〜〜」と英文が表示されます。これは取得したホスト名とIPアドレスの関連付けが大体5分位かかるから、待っててネ!という様な内容です。
5分待ちましょう・・・。
それから、メールで送られてきたパスワードは覚えにくいので自分が分かる様に変更しましょう。
ログイン後のページ左側のメニューで[Change Password]をクリックしてパスワードを変更しましょう。
図D-19 パスワードの変更
そして最後には[Logout]を忘れずにクリックしてログアウトします。
ログアウトのボタンは上記[Change Password]のひとつ下の項目にあります。
図D-20 ログアウト
登録したドメインを確認する
No-IPに新規ホストの登録をしてから約5分が経ったら、MS-DOSプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行します
ping name.no-ip.info
下図の様な結果(0% loss)が返れば先程登録したホスト名とIPアドレスの関連付けは正常に完了しています。
もし失敗しても少し時間を置いてから再トライしてみて下さい。
図D-21 MS-DOSプロンプトpingコマンド実行後
次にApacheを起動してブラウザのURL欄に
http://name.no-ip.info/index.html
と入力するとあなたの自宅サーバに外部からのアクセスが可能になります(なるはずです)。
先述したWebサーバの動作確認のAnother HTML-lint gatewayなどでもチェック可能です。
これらの方法で外部からのアクセスにエラーが出るという方は、Webサーバの動作確認を参照してみて下さい。
以前、私の契約していたプロバイダからはプライベートIPアドレスが割り当てられていて外部からのアクセスが不可能でした。
プライベートIPアドレスをプロバイダから割り当てられている方はP-DNSなどのサービスを使用すると可能です。
サーバを運用する
これまでの説明でグローバルIPアドレスをダイナミックDNSを使用し、ドメインとの関連付けは完了しました。
しかし、このままではプロバイダからIPアドレスの更新があった場合、DNS業者に登録してあるIPアドレスでは外部からのアクセスが不可能になってしまします。
IPアドレスが変化した場合、自分が登録したダイナミックDNS業者のwebサイトへ行き、IPアドレスを登録しなおせばOKなのですが、面倒くさすぎます!そこで、先述した通りDiCEを使用します。
DiCE for Windows Freeware Version の入手とインストール
さっそくソフトウェアに入手とインストールをしてみましょう。
以下のサイトへ行き、DiCE for Windows Freeware Version を入手します。(Professional Version もありますので、間違えないようにしてください)
インストーラを実行すると、自動的にインストールが開始されますので、「標準」モードでインストールして下さい。
DiCE for Windows Freeware Version の設定(イベントの追加)
インストール後、DiCEを起動します。
図D-22 DiCEの起動 画面
[イベント] -> [追加] をクリックします
「イベントの編集」で以下の様に設定します。(例は当サイト上で登録したhttp://www.no-ip.com/で行います)
図D-23 イベント追加 画面
イベントの編集 | |
説明 | 自分が分かりやすい適当な言葉を入れます。例では「No-IP」とします。 |
イベントタイプ | 「DNS更新」をチェックします。 |
サービス | DynamicDNSのサービスサイト名を選択します。例は「No-IP」を選択します。 |
ホスト名 | サービスサイトで登録したホスト名を記入します。(例:name.no-ip.info なら name の部分) |
ドメイン名 | サービスサイトで登録したドメイン名を記入します。(例:name.no-ip.info なら no-ip.info の部分) |
ユーザー名 | サービスサイトで登録したユーザー名を記入します。(No-IPの場合はログイン時に使う Email ) |
パスワード | サービスサイトで登録したパスワードを記入します。(No-IPの場合はログイン時に使うパスワード) |
IPアドレス | ここは空白のままにしておきます。 |
イベント有効 | チェックを入れます。 |
頻度 | サービスサイトを更新する頻度を選択します。 常時接続の環境であれば、「起動時」か「IPアドレス変化時」でいいと思います。 |
適宜設定を終えると[保存]をクリックします。
DiCE起動画面で先程追加した「No-IPの更新」が表示されていることを確認します。
図D-24 イベント追加の確認をします
追加したイベントを選択し右クリックで「今すぐ実行」をクリックすると、あなたのグローバルIPアドレスを取得し、登録したDNS業者へ自動的に更新します。
1回だけ「今すぐ実行」することをオススメします、が!何度も実行するとDNS業者から
「何回も更新するんじゃねぇ〜よ!こっちのサーバに負荷がかかンだろ!もう登録抹消するからな!」
って事になるそうです。お気を付けて。
DiCE for Windows Freeware Version の運用
DiCEはタスクトレイで常駐しますので、タスクトレイにDiCEのアイコンが表示されている状態を保ちます。
図D-25 DiCEの常駐(タスクトレイ)